■業界全体から、トップ3企業にフォーカスしてその動向を探る
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トップ3企業とは「サカイ」「アート」「アリさん」です。
トップがどのような戦略をとり、どのような結果を生み出しているのか、またそれが他の企業に与えている影響は何かについて考えて見たいと思います。
■サカイ引越センター
順調に業績を伸ばし、マーケットリーダーとしての存在感を増しています。
H29年3月期の売上は約730億円で、前期比約4%増、作業件数、単価とも上昇しています。
法人客、個人客ともバランスよく売上を作っているため、環境変化が起きても対応力があり、安定させることができるのが特徴です。
ここ数年の方針である「単価の上昇」の効果が出ています。h30年3月期の第二四半期決算によれば前期比約1割もの単価アップを実現しています。また、ブランド力を生かした家族客の獲得も順調で、客単価は高い水準にあるようです。
人材不足による人件費の上昇も、単価の上昇で吸収しています。
■アート引越センター
業績(引越しに限る)としては横ばいです。
テレビCMの印象が強いアートですが、実は企業の転勤に強みを持っていました。転勤は昔に比べ件数および単価が減少していること。また「高い」「富裕層向け」のようなイメージがあり、思うような件数と単価になっていなく、売上が減少していると思われます。
また、個人客へのサービス(女性スタッフ、収納専用のケースなど)も他社の模倣によって独自性が薄れてきているようです。
結果、業績(引越しに限る)としてはほぼ横ばいと推測されます。
■アリさんマークの引越社
2015年にあった従業員の訴訟が社会問題化し、企業イメージが一気に凋落、業績に大きな打撃を与えました。
TSR調べによれば273億7,647万円(2014年3月末・連結)だったのに対して、直近は予測で187億27百万円(2017年3月期)と予想されています。※グループ3社(引越社・引越社関東・引越社関西)計
かつては、生活者に対して一定の認知を獲得していましたが、現在は同じ専業でもサカイに大きく水を開けられている状態です。
大局的には、引越し客は引越し専業社を選ぶようになっています。
しかし、その専業社の中でそのニーズをしっかりとキャッチし成長している大手企業はサカイだと言えるでしょう。
サカイ一強の時代と言っても過言ではないようです。