■人口減少時代、引越し市場規模はどうなる!?
平成24年(2012年)1月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」では、2020年の日本の人口は124,100,000人、2030年には116,616,000人という推計が出ています。
実に10年で約7%、約7,500,000人もの減少インパクトがあるとうことになります。
さて、こういった環境の中で、引越各社の売上はどうだったでしょうか。
引越しの市場算出は「引越し件数×単価」と表すことができます。
引越し件数の母数は、厳密には人口ではなく世帯数となります。
ここ数年は人口減少といってもまだそれほど激しいものではなく、また世帯数はわずか増加しています。
単価については、人手不足や需給バランスの影響で上昇傾向にあるものの、この先については不透明です。
・参考:サカイ引越センター 決算説明会資料
結果、直近の引越し市場はほぼ横ばい・微減程度です。
■引越し各社の状況
引越し専業会社では、サカイ引越センターが独走を続けています。
2019年3月期の引越売上は約850億円、2010年以降、増収が続きます。
他の企業はどうでしょう。
大手・中堅レベルでは「物流シフト」がさらに強くなっています。受注単価の条件も良く、業界的に深刻な人材不足にあって引越しよりはドライバーも確保しやすいというのが理由です。
また小規模事業主は依然として「比較サイト」による案件獲得が中心。個人に近いような受け手も増えており、市場全体は混沌としていきています。
■ヤマトホームコンビニエンスの受注停止が与えた影響は?
引越し代金の過大請求が明るみとなり、2018年8月末で引越しの新規受注を休止していたヤマトーホームコンビニエンスが、2019年9月から引越し事業を再開するというニュースが流れました。約1年ぶりの再開となります。
この1年、ヤマトホームコンビニエンスが受注を停止したことによって業界に与えた影響はどういったものだったのでしょうか。
ヤマトホールディングスの業績を見てみます。
・参考:ヤマトホールディングス 事業別業績
2019年3月期の「ホームコンビニエンス事業」の売上は約334億。前年、前々年はともに約490億円で、約160億円の落ち込みということになります。ホームコンビニエンス事業は大半が引越し関連の売上であるとするとするなら、決算に影響する受注停止期間2018年9月〜2019年3月の合計7ヶ月で引越し売上160億円の減少という大きな規模です。
ヤマトホームコンビニエンスは、引越しの種別の中でも、地方の引越しや法人の転勤案件に多いという特徴があります。
地方の引越しは、ブランド力と地方に支店展開力がある大手企業の主戦場、ヤマトホームコンビニエンスが受注するはずだった引越しは、大手各社に流れていると思われます。
今後減りゆく引越し市場、サカイ引越センターの一人勝ちはこれからも続くのか、引越し受注再開後ヤマトホームコンビニエンスの売上はどれくらい戻るのか、注目が集まります。