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りんごりくんの引越し総研
Research Institute of Moving

■値下げのハードルが低い引越し料金

 

見積り金額はあっという間に値下がることが多い
何かものやサービスを購入するときに、値切ったことがある人はいると思います。
逆に、特にこちらが何も言わなくても販売側から値段を下げてくるケースというのはそう多くはないのでしょうか。
引越しに関しては、引越し会社から「値下げ」の提案がガンガンくる変な営業が主流です。そこには引越し各社の思惑があるのです。

 

【このページのポイント!】
・引越しはまず「見積り」そのあとに料金提案や交渉が入って「確定金額」が提示されます
・最初に提示される金額はあてにならないが、引越し会社の状況を推測することができます
・すぐ確定金額が出ない理由1:自社の空き具合を確認しているから
・すぐ確定金額が出ない理由2:他社の料金の出方をうかがいたいから

 

 

■なぜ引越し会社は「確定金額」をすぐに出さないのか

 

まずは覚えておきたい引越料金のこと
引越し会社を決める際、比較検討に多くの時間を費やす方が多いようです。弊社が実施した調査(「引越しサイト比較についての調査」、実査委託先:楽天リサーチ:2017年5月30日))では、比較サイトを使った引越し会社の比較検討に実に平均540分も費やしているという結果が出ました。
時間がかかる理由として挙げられるのが「まず見積り額を提示する、確定金額は最初の問い合わせでは提示しない」という引越し会社の鉄則。この鉄則のため、わたしたちは確定金額を知るまでに、数回引越し会社とコンタクトをとらなければならくなります。

なぜ、引越し会社はすぐに「確定金額」を出さないのでしょうか。
もちろん、お客さまの引越し条件が分からない状態では「概算見積り」を出すに留まりますが、本当の理由は他にあります。
このページでは、なぜ引越し会社が「確定金額」をすぐに出さないのか、その理由を明らかにしていきたいと思います。

 

そのために、まずご理解いただきたいのが以下の内容です。
・引越し価格に定価は存在しない
関連ページ:1K、1LDKの単身引越し料金相場表 引っ越し会社がまとめた決定版
・引越しは旅行代金のようなもので、需要の多い少ないで料金が変わる
・引越し会社は忙しい時はできるだけ高くしたい、暇な時は1件でも多くの受注をしたいと考える
関連ページ:暇な会社ほど安くなる!?引越し会社は引越し価格をこうやって決めている

 

最初に提示される金額はあてにならない
引越し会社から最初に提示される引越し金額はおおよそこれらのパターンに分類されます。

 

1.相場の範囲を超えて高めの金額を提示
・空車率が低く(主には繁忙期)空き枠が埋まる見通しでもあるため、無理に受注しなくて良い。ただ高く受注できるならラッキーなので、強気の価格を提示している

 

2.相場感の範囲内で高めの金額を提示
・大手企業がブランド力を生かした料金設定をしている
・値下げ交渉の余地を残したいと考えている
・空車率が低く値下げをする必要がない状況である

 

3.相場感の範囲内で安めの金額を提示
・空車率が高く仕事をとりたい、そのため最初から安めの金額を提示し、他者を抜き出て目に留めてもらうようにしたい

 

4.相場の範囲を超えて安めの金額を提示
・小規模事業者がとにかく気を引くために安い金額を提示、ただし通常なら無料提供されるようなサービスも有料オプション化されているため、引越し条件を確認していく過程で料金が上がっていく

 

このように、提示される金額でその引越し会社の状態が少し見て取れます。 特に上記「2」「3」「4」については、引越し会社は受注するために料金提案をする前提ですので、確定金額とはなりません。

 

空車率を確認した上で料金を決定するので確定金額をすぐに出せない
では、引越し会社の料金提案に必要な要素は何でしょうか。
その一つ目が空車率です。
引越し会社は自社の空車の状況次第で、引越し価格の「値下げ幅」を決定します。言い換えると、どれだけ仕事をとりたいか、その願望の強さは空車率で変わります。
お客さんに料金を提示する営業マンは「この金額までなら値下げをしてもいい」という裁量を与えられていることもありますが、実際には上長から「もっと値下げをしてもいいから受注をとるように」と都度指示されることもしばしばです。
また、空車の状況は日々刻々と変化をします。
そのため、問い合わせを受けてから空車状況を確認し、提示料金の方針を決める必要があります。

 

他社の金額を確認した上で料金交渉をしたいので確定金額をすぐに出せない
二つ目が他社の提示した料金です。

 

引越し会社は常に価格競争にさらされています。
インターネットの一括見積り比較サイトが競争を生み出す環境を作りました。「引越し代を少しでも安く」と安さを求める人々の声があります。これに、1件でも多く取りたいという引越し会社の思惑、それを生み出している費用構造が加わって値引き競争が始まるのです。
また、「引越し」という無形のサービスはその品質を伝えるのが難しく、結果安易に価格で勝負する引越し会社が多いという側面もあると思います。

 

「今、何社くらい見積りをとっていますか?」
「ここだけの話、他ではいくらって言われましたか?」

 

引越し会社に見積り依頼をした後、電話口でこういった質問をされることがあります。例えばここで
「A社からは40,000円の見積りをもらいました」と言ったとしましょう。

すると、 「じゃぁ、うちは38,000円でいいですよ、この金額でうちに決めてもらえませんか?」
と他社の金額より安い金額が提示されると思います。
※もちろん、営業姿勢や値下げ幅は前出のとおり「空車率」次第です

 

わたしたちには引越し金額に対する相場感というものを持ちえていません。
関連ページ:1K、1LDKの単身引越し料金相場表 引っ越し会社がまとめた決定版
提示される金額が高いのか安いのかも最初はわからないでしょう。
少し乱暴に言えば、その人の「相場」は最初に取得した見積りの金額になるのです。その「相場」を利用して、引越し各社は巧みに料金提案をしてきます。
ですので、最初から確定金額は提示しませんし、ある意味最初に確定金額を表示したら「損」だと思っているのです。

 

 

■まとめ

 

どこまで時間を使って料金交渉をしますか?
いかがでしたか?
引越し料金が安くなるのはいいことなのかもしれません。
しかし、こういった過程が引越しをする人の貴重な時間を奪っています。果たしてそこで値引かれた金額と費やした時間は、見合っているでしょうか。
そして、人の状況を見て提示する金額を高くにも安くにもするという、引越し会社の提案スタイルは利用者目線ではないと考えます。